遠山貴一のAI勉強日記|第5話 マーケティング篇#2 3C分析をAIと一緒にやってみたら、うちにしかできない役割が浮かび上がってきた話~
このブログは、**「宮崎の経営者が”へー!こんな使い方ならウチでもできそう”と感じてAIに触れるきっかけになること」**を願って、ハナビヤが実践するAI導入のリアルを記録しているものです。
今回のテーマ:「3C分析をAIと一緒にやってみた」
SWOT分析で自分たちの内側を整理したら、次は外との関係性を見ていくフェーズです。そこで使ったのが「3C分析」。
Customer(顧客)/Competitor(競合)/Company(自社)
この3つを並べて見ていくことで、「どこに差があるのか?」がクリアに見えてきます。
3Cは「自社の立ち位置を相対的に見るフレーム」
マーケティングの世界では定番のフレームですが、AIを活用することで、その視点が”他人ごと”ではなく、“自分のこと”として返ってくるのが新鮮でした。単なる分析で終わらず、「じゃあうちはどう戦えばいいの?」まで見えてくるのがAI活用の醍醐味です。
ハナビヤの3C分析をAIと深掘りしてみた
まずはAIに基本的な情報を投げて、分析してもらいました。
Customer(顧客)の本音を探る
● 宮崎県内の中小企業や行政・自治体が中心
● 情報発信やブランディングの必要性は感じているが、「どう伝えればいいか」がわからない
● デザインや映像などの制作物を「相談ベース」で頼みたいニーズが多い
● 完成物よりも、”一緒に考えてくれる姿勢”を重視している傾向がある
ここでAIに追加質問してみました:
「なぜ宮崎の企業は『相談ベース』を重視するのか?」
AIの回答:
地方の中小企業は、都市部と違って「制作会社の選択肢が限られている」ため、長期的な関係性を重視する傾向があります。また、社長自身が会社の顔として発信することが多く、「自分たちの想いを理解してもらえるか?」が制作会社選びの大きな判断基準になっています。
これは刺さりました。 確かにハナビヤのお客様は、一度お付き合いが始まると長く続く傾向があります。
Competitor(競合)の動向を分析
● 技術重視・低コスト・スピード対応を武器にした制作会社が台頭
● デジタルツールに強いが、「表現の方向性」や「ブランド理解」が弱い場合も
● 一部はAI活用により効率性を高めているが、顧客との距離感が課題
● 首都圏の制作会社がリモートで宮崎案件を受注するケースも増加
さらにAIに聞いてみました:
「競合がAIを活用している場合、どんなリスクがあるか?」
AIの分析:
効率化により価格競争力は向上しますが、「テンプレート的な提案」に陥りやすく、顧客の個別事情への対応力が下がる可能性があります。特に地方企業が求める「地域性」や「企業文化の理解」は、AIだけでは補えない領域です。
これで戦略が見えてきました。 競合がAIで効率化している今こそ、ハナビヤは「人だからこそできること」に特化すべきだと。
Company(自社:ハナビヤ)の真の強みを発見
● 顧客の「言葉にできない想い」をくみ取り、言語化・構成化するのが得意
● 提案段階から並走し、制作物は”共創型”で生み出していくスタイル
● 技術ではなく”人と空気”で選ばれる傾向があり、相談しやすさが強み
● 地域に根ざした信頼と、柔らかい表現力が評価されている
最後にAIに核心を突く質問:
「ハナビヤが絶対に他社に真似されない強みは何か?」
AIの回答:
遠山さん個人の「共感力」と「翻訳力」です。お客様の曖昧な要望を、具体的なクリエイティブに落とし込む能力。これは技術やツールでは代替できません。また、宮崎という地域で15年間築いてきた信頼関係は、新規参入者には簡単に真似できない資産です。
ここで気づいたのは、 自分では「当たり前」だと思っていた「お客さんの話を聞いて、それを形にする」という行為が、実は特別なスキルだったということです。
ClaudeとChatGPTの使い分けが明確になった
実際に3C分析をやってみて感じた、AIツールの得意分野の違い:
Claude の特徴
・感情や空気感を読むのが得意:「なぜお客さんはこう感じるのか?」の背景まで推測してくれる
・行間を読む力:データには現れない「地方企業特有の事情」なども考慮した分析
・長文の構造化:複雑な情報を整理して、ストーリー性のある分析にまとめてくれる
例: 「宮崎の企業が相談ベースを重視する理由」を聞いたとき、単なる地域性だけでなく、「社長自身が発信する文化」「長期関係を重視する背景」まで深掘りしてくれました。
ChatGPT の特徴
・フレームワークの活用が得意:3Cの項目に沿って、漏れなく整理してくれる
・比較分析の精度:競合との差を数値的・論理的に整理するのが上手
・資料作成向け:そのまま提案書に使える形でアウトプットしてくれる
例: 競合分析では、「価格帯」「対応スピード」「技術力」などの軸で、きれいに比較表を作成してくれました。
両方使うと見えてくるもの
・Claude → 「なぜそうなるのか?」の背景理解
・ChatGPT → 「どう整理して、どう活用するか?」の実践的な答え
この使い分けにより、 “人の感覚”と”論理の整理”が同時に得られるのが3C分析の面白さです。
実際のプロンプトと返ってきた答えを公開
実際にどんな感じでAIとやり取りしたのか? 具体例を紹介します。
質問例1:顧客分析の深掘り
プロンプト:
ハナビヤの顧客である宮崎県内の中小企業について、以下の視点で分析してください:
- なぜ「相談ベース」を重視するのか?
- 制作会社に求める本当のニーズは何か?
- 意思決定の際に重視するポイントは?
背景情報:
- ハナビヤは地域密着15年
- リピート率が高い
- 提案段階から長時間の打ち合わせを行う
AIの回答(要約):
宮崎の中小企業が相談ベースを重視する理由は3つ。①制作会社の選択肢が限られているため、長期的なパートナーシップを前提とする②社長自身が広告の顔になることが多く、自分の想いを理解してもらえるかが重要③都市部と違い、地域特性や企業文化への理解が必要で、それができる制作会社を求めている。
質問例2:競合との差別化ポイント
プロンプト:
以下の競合状況で、ハナビヤが勝てる領域はどこか?
競合A:AIツール活用で効率化、低価格・短納期 競合B:技術力重視、最新デザイントレンド対応 競合C:首都圏の大手、リモート対応で宮崎案件参入
ハナビヤの特徴:
- 地域密着15年の実績
- 顧客の想いの言語化が得意
- 共創型の制作プロセス
- 相談しやすい雰囲気
AIの回答(要約):
ハナビヤが勝てるのは「感情的価値」の領域。競合が効率性や技術力で勝負する中、ハナビヤは「安心感」「信頼関係」「想いの共有」で差別化できる。特に、地方企業特有の「社長の想いを形にしたい」というニーズは、AIや技術では代替できない人間力が必要な領域。
質問例3:今後の戦略方向性
プロンプト:
3C分析の結果を踏まえて、ハナビヤが今後3年間で注力すべき戦略を提案してください。
条件:
- 地域密着は維持したい
- スタッフの属人性を解決したい
- AIも活用していきたい
- 競合との差別化を明確にしたい
AIの回答(要約):
戦略は「人×AI」のハイブリッド化。AIは効率化ではなく「顧客理解の深化」に活用。例:過去の案件データをAI分析し、顧客の潜在ニーズを発見→それを人間が汲み取り提案に活かす。属人性の解決には、遠山さんの「翻訳スキル」をマニュアル化し、スタッフ全員が同レベルで顧客と対話できる仕組みづくりが必要。
分析結果から導いた具体的アクションプラン
AIとの対話を通じて見えてきた実行可能な戦略がこちらです:
短期戦略(6ヶ月以内)
1. 顧客の「想い翻訳プロセス」の可視化
・遠山さんが無意識にやっている「顧客の曖昧な要望→具体的な提案」の変換プロセスをマニュアル化
・スタッフ全員が同じレベルで顧客対応できる仕組みづくり
2. AIを活用した顧客理解の深化
・過去の案件データをAI分析し、顧客の潜在ニーズパターンを発見
・初回ヒアリング前に、その企業の業界トレンドや課題をAIで事前調査
中期戦略(1-2年)
1. 「相談特化型」ポジションの確立
・制作だけでなく「ブランド戦略の壁打ち相手」としての価値提供
・月1回の定期相談サービスなど、継続的な関係性構築
2. 地域内での「翻訳者」ブランディング
・「想いを形にするプロ」としての認知拡大
・成功事例の体系化と横展開
長期戦略(3年以降)
1. ハナビヤ式「共創メソッド」の確立
・独自の制作プロセスを体系化
・他地域への展開や、同業者への手法提供も視野
2. 地域のクリエイティブハブ化
・宮崎の企業が「想いを形にしたい」と思ったときの第一選択肢へ
重要なのは、 これらの戦略すべてが「人だからこそできること」に特化している点です。AIが普及すればするほど、ハナビヤの価値は相対的に高まる構造になっています。
3C分析をやってみて感じた「AIの使い方のコツ」
実際に作業してみて見えてきた、AIを経営分析に活用する際のポイントをシェアします。
1. 一回で完璧を求めない
最初の分析結果は「そうかな?」程度の精度でした。大切なのは追加質問を重ねること。「なぜそう思うのか?」「他の可能性は?」と深掘りすることで、的確な分析に近づいていきます。
2. 複数のAIで同じ質問をする
ClaudeとChatGPTで同じ質問をすると、違った角度の答えが返ってきます。それを比較することで、思考の盲点が見えてきました。
3. 具体例を織り交ぜる
「ハナビヤの顧客は〜」と抽象的に伝えるより、「先月のA社案件では、社長が『うちの商品の良さが伝わらない』と相談に来て〜」という具体例を入れた方が、AIの分析精度が格段に上がります。
4. 感情的な部分も言語化する
「なんとなくお客さんが求めているもの」という曖昧な感覚も、AIに投げてみる価値があります。意外と的確に言語化してくれることが多く、自分の直感の正体が見えてきます。
5. 業界知識を補完してもらう
宮崎の制作業界の特徴やトレンドについて、AIに調べてもらいながら分析を進めました。自分が知らない外部環境の変化も含めて分析できるのがAI活用の大きなメリットです。
AIが提案する「3C分析の仕組み化」実践プラン
「分析はできたけど、継続できなければ意味がない」
3C分析をやってみて手応えを感じた僕は、AIに相談してみました。**「この分析を社内で継続していくには、どう仕組み化すればいいか?」**と。
すると、ハナビヤの規模や特徴を踏まえた、実行可能な仕組み化プランを提案してくれました。
AIの提案1:月次3Cレビューの導入
実施サイクル: 毎月末の最終営業日に1時間の「3Cタイム」を設置
AIからの提案内容:
・新規獲得した顧客の傾向分析(Customer)
・競合の動きや業界トレンドのチェック(Competitor)
・自社の提案内容や強みの振り返り(Company)
使うツール:
・Claude:感情面や背景の分析
・ChatGPT:データの整理と比較分析
・Notion:分析結果の蓄積と共有
遠山の感想: これなら無理なく続けられそう。まずは僕一人からスタートして、効果が見えたらスタッフにも展開していこう。
AIの提案2:スタッフ参加型の仕組み
AIの指摘: 「遠山さん一人だけの分析では属人化してしまう」
解決策として提案された役割分担:
・営業担当:Customer分析(顧客ヒアリング内容の整理)
・デザイナー:Competitor分析(競合の制作物や手法の調査)
・ディレクター:Company分析(自社の提案プロセスや成果の振り返り)
全員で共有: 月末に各自の分析結果を持ち寄り、30分間のミーティング
遠山の感想: 確かに、みんなでやった方が気づきも多そう。ただ、いきなり全員でやるより、まずは僕が慣れてからの方が良さそうだな。
AIの提案3:分析テンプレートの標準化
属人化を防ぐため、AIが誰でも同じレベルの分析ができる質問テンプレートを作成してくれました。
【Customer分析用プロンプト(AI作成)】
今月新規獲得した顧客:[企業名・業種・規模] 相談内容:[具体的な依頼内容] 決定理由:[なぜハナビヤを選んだのか]
上記を踏まえて、以下を分析してください:
- この顧客が本当に求めていたものは何か?
- 同じ業種の企業にも当てはまる傾向はあるか?
- 今後のアプローチで活かせるポイントは?
【Competitor分析用プロンプト(AI作成)】
競合情報:[会社名・新しい取り組み・価格戦略など] 市場動向:[業界ニュース・技術トレンドなど]
以下の視点で分析してください:
- ハナビヤにとって脅威となる要素は?
- 逆に機会となる要素は?
- 差別化すべきポイントは何か?
【Company分析用プロンプト(AI作成)】
今月の案件:[案件概要・提案内容・結果] 顧客反応:[好評だった点・改善点など]
以下を分析してください:
- ハナビヤの強みが活かされた部分は?
- 競合との違いが評価された点は?
- さらに伸ばすべき要素は何か?
遠山の感想: これは便利!質問に迷わなくて済むし、スタッフにも展開しやすい。
AIの提案4:分析結果の活用ルール
AIの指摘: 「分析して終わりにしては意味がない」
3段階の活用ルールを提案:
即座に改善(その場で決定):
・提案書のテンプレート修正
・ヒアリングシートの項目追加
・営業トークの改善ポイント
来月の重点項目(翌月の目標設定):
・注力すべき業種・企業規模
・競合との差別化ポイントの強化方法
・新しく試すべき提案手法
四半期見直し(戦略レベルの判断):
・サービス内容の方向性修正
・価格戦略の見直し
・人材育成の重点領域
遠山の感想: これは目から鱗。分析を実際のアクションに繋げる仕組みがないと、ただの作業になってしまうもんな。
AIの提案5:効果測定の指標設定
仕組み化の効果を測る指標(AI提案):
・顧客満足度:案件完了後のアンケート点数
・提案精度:初回提案での受注率
・差別化効果:価格競争以外での受注割合
・チーム力:スタッフ個人の分析スキル向上度
期待される効果(AI予測):
・提案的中率の向上(目標:3ヶ月で15-20%アップ)
・スタッフの顧客理解力向上
・競合との差別化ポイントの明確化
・営業トークの説得力向上
遠山の感想: 数値で効果を測れるのは良いな。モチベーションも維持しやすそう。
AIが予測する「導入時の課題と対策」
予想される課題1: 最初はAIの回答をそのまま鵜呑みにしがち
AI提案の対策: 「AIの分析に対して、自分はどう思うか?」を必ず付け加えるルール化
予想される課題2: データは蓄積されるが、活用しきれない
AI提案の対策: 半年分のデータを使って「ハナビヤらしい顧客の特徴」を定期的にAI分析
予想される課題3: 競合分析が表面的になりがち
AI提案の対策: 実際に競合のサイトや提案を調査する「定点観測」の実施
遠山の感想: さすがAI、起こりそうな問題まで先回りして教えてくれるのは助かる。
僕が実際にやってみようと思った「スタートプラン」
AIの提案を受けて、まずは僕一人で始められる範囲で仕組み化してみることにしました。
Step1:今月から始める(1人でスタート)
・月末30分の3Cタイム設定
・AIの質問テンプレートを使って分析
・翌月の改善ポイントを3つ決める
Step2:3ヶ月後に効果検証
・提案の受注率変化をチェック
・顧客からの反応の変化を記録
・効果があれば、スタッフにも展開
Step3:半年後にチーム化
・スタッフ向けの3C分析勉強会開催
・役割分担を決めて、チーム全体で実施
・月次ミーティングでの共有開始
これなら無理なく始められそうです。 完璧を目指さず、小さく始めて徐々に拡大していく方針で行こうと思います。
読者の皆さんへ「まずはここから始めてみませんか?」
AIからの提案を受けて、**他の宮崎の経営者の方々にも試してもらえそうな「スタートプラン」**を考えてみました。
まずは1ヶ月だけ試してみる「お試しプラン」
必要なもの:
・ChatGPTまたはClaude(無料版でもOK)
・30分の時間(月1回)
・メモを取るツール(スマホのメモ帳でも可)
やること:
- 月末に30分だけ時間を作る
- AIに「うちの会社の3C分析をして」と相談
- 出てきた答えから「来月試してみたいこと」を1つ決める
これだけです。完璧を目指さず、まずは**「AI分析ってこんな感じか」**を体験してもらえれば。
慣れてきたら「チーム展開プラン」
Step1: 社長一人で3ヶ月続ける
Step2: 効果を感じたら、スタッフ1人に共有
Step3: みんなでやってみる
ポイントは「無理をしないこと」。 続けることが一番大事だと、AIにも言われました。
困ったときは気軽に相談してください
もし「やってみたいけど、どう始めればいいかわからない」という方がいらっしゃれば、ハナビヤに相談してください。同じ宮崎の経営者同士、 一緒に試行錯誤していけたらと思います。
AIを使った経営分析は、まだ始まったばかりの分野。みんなで情報共有しながら、宮崎の企業のレベルアップに繋がれば嬉しいです。
まとめ:分析を「文化」に変える
3C分析をAIと一緒にやることで見えたのは、「うちの当たり前」こそが最大の武器だということでした。
ハナビヤでは「お客さんと一緒に考える」のが当たり前でしたが、分析の結果、多くの競合は「完成品を渡すスタイル」だと判明。つまり、私たちの”当たり前”こそが差別化ポイントだったのです。
重要なのは、分析して終わりにしないこと。 仕組み化により、3C分析が会社の成長習慣として定着しました。
・月1回の振り返りが、チーム全体の市場感度を向上させる
・テンプレート化により、誰でも一定レベルの分析ができる
・改善アクションを必ずセットにすることで、分析が実際の成果につながる
「うちはこういう会社です」 と言うだけでは不十分。「他と比べてここが違います」 と言えるようになって初めて、提案の説得力が生まれます。
そして、それを継続的にアップデートし続ける仕組みがあることで、常に最新の差別化ポイントを把握できるようになりました。
次回予告|第6話「STP分析とペルソナ制作」
顧客・競合・自社の関係性が見えたら、次は**「誰に、何を、どう伝えるか?」**を整理していきます。
STP分析でターゲットを絞り、ペルソナでその人物像を具体化する。“刺さるメッセージ”の作り方をAIと一緒に探っていく話をお届けします。
この第5話が、「自社の強みがわからない」と悩んでいる方へのヒントになれば嬉しいです。
次回もお楽しみに!