遠山貴一のAI勉強日記|第6話 マーケティング篇#3 STP分析とペルソナ作成をChatGPTとClaudeで作った話
このブログは、**「宮崎の経営者が”へー!こんな使い方ならウチでもできそう”と感じてAIに触れるきっかけになること」**を願って、ハナビヤが実践するAI導入やAI活用例、プロンプト、AIでの作業工数の削減などリアルを記録しているものです。
【今回の特典】記事の最後に、あなたの会社でもすぐに使える「ペルソナ作成プロンプト集」を公開します!
【シリーズナビゲーション】
・第1話:はじめに – AI導入への想いと使用ツール紹介
・第2話:RAG活用 – 社内情報でAIのウソを減らす方法
・第3話:MCP活用 – kintoneやGA4など社内ツール連携術 ⭐人気No.1
・第4話:SWOT・PEST分析 – フレームワークで会社の健康診断
・第5話:3C分析 – 競合・顧客・自社の関係性整理
・(この記事)第6話:STP・ペルソナ分析 – ターゲットの具体化
今回の成果:30分の作業でタイプの違う3人のペルソナが見えた
使ったAIツール:ChatGPT(論理整理)× Claude(感情理解)
所要時間:30分
成果:3つの具体的ペルソナ完成
これまでの「なんとなく中小企業向け」が、**「48歳製造業社長・佐藤健一さんの『技術力をお客さんに伝えたい』という悩み」**まで具体化できました。
今後の活用予定:
- 提案精度の向上(ペルソナ別のアプローチ手法)
- 社内議論の効率化(共通言語としての活用)
- 新人指導の具体化(「佐藤さんタイプなら〜」での説明)
前回の振り返り:3C分析で見えた「うちの強み」
第5話の3C分析で、ハナビヤの立ち位置が明確になりました
顧客:完成物より制作過程を重視する層
競合:効率化重視だが、顧客理解が弱い
自社:「想いの翻訳力」が最大の武器
この結果を受けて、**「じゃあ具体的にどんな人に、どう伝えるか?」**を定めるのが今回のミッション。つまり、**STP分析(誰を狙うか)とペルソナ制作(その人はどんな人か)**です。
そもそもSTP分析&ペルソナって何?簡単に言うと
STP分析 = 戦う相手を決める作業
Segmentation(市場を分ける):どんなグループがいる?
Targeting(誰を狙う):その中で誰を優先する?
Positioning(どう戦う):どんな立ち位置で勝負する?
ペルソナ = ターゲットを人間にする作業
「中小企業の社長」→「佐藤健一さん(48歳、金属加工会社、従業員25名、技術をうまく伝えられずに悩んでいる)」
なぜ必要? 「この人だったらどう感じるかな?」で提案が作れるから。
AIの威力: 主観だけでなく、業界データや心理分析を組み合わせた客観的なペルソナが30分で完成。
実際のAI作業:ChatGPTとClaudeでSTP分析
第3話のMCP活用で学んだAIの使い分けを、今回も活用しました。
Step1:ChatGPTで基本構造を整理
投げたプロンプト:
ハナビヤ(宮崎のクリエイティブ会社)のSTP分析をお願いします。
【会社情報】
・創業15年、地域密着
・映像、デザイン、Web制作
・相談ベースの提案スタイル
・技術力より共感力で勝負
【前回の3C分析結果】
・顧客:完成物より制作過程を重視
・競合:効率化重視、顧客理解弱い
・自社:想いの翻訳力が強み
STPの各項目を具体的に分析してください。
ChatGPTの回答(要約):
【S】セグメンテーション
- 地域中小企業経営者(製造・建設・サービス業)
- 自治体・公共団体の広報担当
- スタートアップのCMO・企画職
【T】ターゲティング → 上記の中でも「制作過程に価値を感じる層」に特化
【P】ポジショニング → 「想いを共に形にする共創型パートナー」
Step2:Claudeで感情面を深掘り
ChatGPTの分析をClaudeに投げて:
上記のSTP分析について、感情面や背景を深掘りしてください。
1. なぜ宮崎の中小企業は「制作過程」を重視するのか?
2. 各セグメントが本当に困っていることは?
3. ハナビヤが選ばれる「感情的な理由」は?
Claudeが教えてくれた背景:
- 地方の特性:選択肢が限られるため、長期関係を重視
- 社長の想い:自分が会社の顔として発信することが多い
- 信頼の重要性:「理解してくれそう」という安心感が決め手
この深掘りで、単なる属性分析から「人の気持ち」が見えるSTP分析になりました。
ChatGPT vs Claude:STP分析での使い分けが明確に
ChatGPT の得意分野
✅ フレームワークの構造化:STPの各項目を漏れなく整理
✅ 市場データの活用:業界トレンドを踏まえた客観的分析
✅ 資料作成向け:そのまま企画書に使える形でアウトプット
Claude の得意分野
✅ 感情面の理解:「なぜそう感じるのか?」の背景分析
✅ 人間らしい視点:データに現れない心理的要因の考慮
✅ ストーリー性:理論だけでなく「人の物語」として理解
両方使うメリット
ChatGPT → 論理的な枠組み作成
Claude → 人間の感情や動機の理解
結果:理論的でありながら、心に響くSTP分析が完成
完成したハナビヤのSTP分析結果
【S】セグメンテーション:3つの市場
1. 地域中小企業経営者(製造・建設・サービス業)
- 技術や商品に自信があるが、発信方法がわからない
- 人との信頼関係を重視、紹介や口コミで判断
- 宮崎県内約800社が該当
2. 自治体・公共団体の広報担当者
- 情報発信の義務があるが、表現方法に悩む
- 複数関係者への説明が必要、根拠が重要
- 宮崎県内約50団体が該当
3. スタートアップのCMO・企画職
- スピード重視、アイデアを素早く形にしたい
- 世界観やブランドトーンへのこだわり
- 宮崎移住組を中心に約30社が該当
【T】ターゲティング:制作過程重視層
3つのセグメント共通条件:
- 「完成物を買う」より「一緒に作る」を求める
- 価格競争より相談しやすさで選ぶ
- 自分たちの想いを理解してくれる相手を重視
優先順位:
- 地域中小企業経営者(ボリューム大、ハナビヤとのマッチ度高)
- 自治体広報担当者(安定性、継続性)
- スタートアップCMO(成長性、話題性)
【P】ポジショニング:共創型パートナー
「想いを共に言葉とカタチにしていく共創型クリエイティブパートナー」
差別化ポイント:
- ただ作るだけでなく、一緒に考える
- 技術力より共感力と翻訳力
- 15年の地域実績による安心感
- 競合が真似できない「人の力」
AIと作った3つのペルソナ(リアルな人物像)
STP分析の結果をもとに、各セグメントの代表的人物をAIと一緒に設計しました。
ペルソナ1:佐藤 健一さん(48歳)

【基本情報】
- 宮崎市内の精密金属加工会社 代表取締役
- 従業員25名、年商3億円、創業20年
- 高い技術力だが営業が課題
【困っていること】
- 「うちの技術の高さをお客さんにどう伝えればいいかわからない」
- ホームページはあるが問い合わせが来ない
- 展示会に出ても「説明が難しくて伝わらない」
【価値観・判断基準】
- 人との信頼関係を何より重視
- ネット検索より、紹介や口コミで判断
- 「理由を説明してもらえればわかる」タイプ
ペルソナ2:田中 美穂さん(35歳)

【基本情報】
- 宮崎県庁 観光戦略課 主任
- 県の観光PR企画担当、大学卒業後県庁13年目
- 真面目で責任感が強い
【困っていること】
- 「観光PRの企画は作れるが、どう伝えるかがわからない」
- 上司、観光業者、県民など多方面への説明が必要
- 炎上リスクを避けたいが、インパクトも欲しい
【価値観・判断基準】
- 正確性と信頼性を最重視
- 関係者全員が納得できる「根拠のある提案」を求める
- 前例や他県の成功事例を参考にしたがる
ペルソナ3:山下 拓也さん(32歳)

【基本情報】
- 東京発ITスタートアップ、宮崎移住CMO
- 農業×テクノロジーサービス展開
- 前職は大手広告代理店のストラテジー
【困っていること】
- 「アイデアはあるが、スピード感を持って形にしたい」
- 「宮崎らしさ」と「先進性」のバランスに悩む
- 東京の感覚と地方の感覚のギャップを埋めたい
【価値観・判断基準】
- スピードと柔軟性が最重要
- データドリブンな意思決定を好む
- AI活用や最新ツールに前向き
【特典】ペルソナ作成プロンプト集
どんな質問をAIに投げれば、実用的なペルソナができるのか? マーケティング理論に基づいた5段階のプロンプトを公開します。
プロンプト1:基本情報収集
あなたは経験豊富なマーケティングコンサルタントです。
以下の条件で、実在性の高いペルソナを1つ作成してください。
【企業情報】
業種:[あなたの業種]
地域:[あなたの地域]
従業員数:[規模]
主要サービス:[サービス内容]
【ターゲット設定】
想定する顧客層:[例:地域の中小企業経営者]
抱えている課題:[例:自社の魅力発信に困っている]
【出力形式】
1. 基本情報(名前、年齢、職業、会社規模)
2. 現在の状況(業務内容、組織での立場)
3. 抱えている課題・悩み(具体的に3つ)
4. 情報収集行動(どこで情報を得るか)
5. 意思決定パターン(何を重視して判断するか)
6. 理想の未来(課題が解決したらどうなりたいか)
リアリティを重視し、地域特性も反映してください。
プロンプト2:心理・感情面の深掘り
先ほど作成したペルソナについて、マーケティング心理学の観点から以下を分析してください:
【分析項目】
1. 課題の根本原因
2. 感情的な障壁
3. 意思決定の感情的側面
4. 理想と現実のギャップ
5. コミュニケーション特性
人間の複雑さや矛盾も含めて、リアルな心理描写をお願いします。
プロンプト3:カスタマージャーニー設計
このペルソナが、私たちのサービスを知ってから契約するまでの行動を時系列で分析してください。
【分析フレーム】
■ 認知段階:どこで初めて私たちを知るか?
■ 検討段階:どんな情報を求めるか?
■ 決定段階:最終的な決め手となる要因
各段階での感情の変化と必要なアクションを設計してください。
プロンプト4:競合分析連動型ペルソナ
作成したペルソナが競合他社を選ぶ場合と、私たちを選ぶ場合の違いを分析してください。
【競合分析の観点】
1. 競合A(価格重視型)を選ぶ場合の条件
2. 競合B(技術力重視型)を選ぶ場合の条件
3. 私たちを選んでもらうための独自価値
戦略的なペルソナ活用方法まで提案してください。
プロンプト5:業界特化型カスタマイズ
【業界別カスタマイズプロンプト】
■ 製造業向け
・技術への誇り vs 営業・PR苦手意識
・品質重視の文化
・下請け体質からの脱却願望
■ IT・スタートアップ向け
・スピード重視の意思決定
・データドリブンな判断基準
・ROI(投資対効果)への関心
■ 小売・サービス業向け
・顧客との直接接点の重要性
・口コミ・評判への敏感さ
・地域密着の重要性
業界の商慣習や特有の課題も踏まえた、実用的なペルソナに仕上げてください。
これらのプロンプトを段階的に使うことで、 マーケティング戦略に直結する実用的なペルソナが完成します。
ペルソナが社内の”共通言語”になる可能性
期待される変化1:提案精度の向上
現在(ペルソナ設定前): 営業:「中小企業向けの提案書作りました」 デザイナー:「どんな感じにしましょうか?」 → 抽象的な議論で時間がかかる
導入後(ペルソナ設定後): 営業:「佐藤さんタイプのお客様です」 デザイナー:「じゃあ技術の見える化重視で、説明文は多めに」 → 具体的で迅速な判断が可能に
期待される変化2:社内議論の効率化
現在:
- 「このデザイン、どうですかね?」(主観的)
- 「なんとなく違う気がする…」(曖昧)
導入後:
- 「田中さんタイプなら、もう少し根拠データがあった方がいいかも」
- 「山下さんなら、このスピード感で十分」
期待される変化3:新人指導の具体化
現在: 先輩:「お客さんの気持ちを考えて提案して」 新人:「???」(抽象的で困る)
導入後: 先輩:「佐藤さんタイプのお客様なので、この資料構成で」 新人:ペルソナシートを見ながら論理的に組み立て
期待効果: 経験に頼らない指導システムの構築
読者の皆さんへ:「10分ペルソナ作成法」
【超シンプル版】10分ペルソナ作成法
必要なもの: ・ChatGPTまたはClaude(無料版OK) ・10分の時間 ・メモ帳
Step1(3分):理想的なお客様を思い浮かべる ・年齢、職業、会社規模、悩みをメモ
Step2(5分):AIに質問
以下の条件で、具体的なペルソナを作成してください:
・年齢:○歳
・職業:○○業の○○
・悩み:○○に困っている
・地域:宮崎県
この人の価値観、行動パターン、情報収集方法、
私たちにどんなことを期待しているかを教えてください。
Step3(2分):実用化 ・出てきた情報をメモ ・次の営業・提案時に「この人だったら?」で考える
やってみて困ったら、問い合わせページから連絡いただければお教えします。宮崎の企業同士、一緒にレベルアップしていきましょう!
まとめ:AIで「ふんわり」が「具体的」に変わった
今回のSTP分析とペルソナ制作で、最大の収穫は**「顧客が具体的な人間として見えるようになった」**ことです。
Before: 「中小企業向けのデザインを作る」(抽象的)
After: 「佐藤さんの『技術力をお客さんに伝えたい』という想いを形にする」(具体的)
この変化がもたらす期待効果
- 提案精度の向上:相手の心に響く内容に
- 社内の共通言語化:チーム全体が同じ方向を向く
- 効率性の向上:迷いが減り、決断が早くなる
- 新人指導の具体化:経験に頼らない指導が可能
AIの役割は「分析の相棒」
人間だけでは見落としがちな視点や、感情的になりすぎる部分をAIが客観的に整理。しかし最終判断は実際にお客様と向き合っている人間の感覚が重要。
AIと人間の協業により、論理的でありながら心に響くペルソナ設計が実現しました。
次回予告|第7話「マーケティング編#4 AIが分析するハナビヤはどこで戦うべきか?」
これまでの分析を統合して、最終戦略を決定
SWOT分析 → 自社の強み・弱みを把握
3C分析 → 競合・顧客・自社の関係性整理
STP・ペルソナ → ターゲットの具体化
第7話では:
- これら全ての分析結果をAIで統合
- **「ハナビヤが最も勝てる戦場はどこか?」**を明確化
- 具体的なアクションプランまで落とし込み
フレームワークを落とし込んでの集大成として、
宮崎のクリエイティブ会社がAIで導いた戦略の全貌をお届けします。
この第6話が、「ターゲットがふんわりしてて困ってる」という方へのヒントになれば嬉しいです。
次回もお楽しみに!
【シリーズナビゲーション】
・第1話:はじめに – AI導入への想いと使用ツール紹介
・第2話:RAG活用 – 社内情報でAIのウソを減らす方法
・第3話:MCP活用 – kintoneやGA4など社内ツール連携術 ⭐人気No.1
・第4話:SWOT・PEST分析 – フレームワークで会社の健康診断
・第5話:3C分析 – 競合・顧客・自社の関係性整理
・(この記事)第6話:STP・ペルソナ分析 – ターゲットの具体化