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HOMENEWS遠山貴一のAI勉強日記|第8話 営業改善篇~AEのプレゼン資料作成にAIを導入したら、2週間の作業が4日になった話~

遠山貴一のAI勉強日記|第8話 営業改善篇~AEのプレゼン資料作成にAIを導入したら、2週間の作業が4日になった話~

このブログは、「宮崎の経営者が”へー!こんな使い方ならウチでもできそう”と感じてAIに触れるきっかけになること」を願って、ハナビヤが実践するAI導入のリアルを記録しているものです。

 

今回のテーマ:「営業の業務改善にAIを導入してみた」

今回は1つだけ、実際にハナビヤで成果が出た業務改善のAI導入事例を紹介します。

うちの営業スタッフ(AEと呼んでます)の残業が続いている風景を見ていました。勤務表を確認すると、確かに遅くまで仕事をしている様子。

そこで、どんな作業をしているのかを洗い出してみることにしました。

僕のAI活用のテーマは「人がやらなくていい作業はAIに代用させていく」です。

そして、もう一つ大事な考え方があります。

パワポをキレイに作ることがプレゼンで必要なことじゃない。クライアントの課題を解決することが大事であって、その内容をわかりやすく伝える為にパワポがある。

この視点で営業の仕事を見直してみることにしました。

 

作業時間の大半を占めていた「犯人」を発見

AEが時間を取られていた作業内容を調査したところ、時間を食っていた犯人の中の1つが判明しました。

今回は、その中でも特に効果が大きかった「プレゼン資料の作成」の改善事例を紹介します。

うちのAEスタッフを見ていて気づいたことがあります。

パワポ制作のスキルが人によって全然違う。

デザインが得意なスタッフは1日で見栄えの良い資料を作れる。でも、そうじゃないスタッフは同じクオリティを出すのに3日かかってしまう。

これって、本来の営業の仕事なのか?と考えました。

営業の本質は「クライアントの課題を見つけて、解決策を提案すること」のはず。パワポをキレイに作る技術の差で、営業の評価が変わってしまうのはおかしい。

それに、デザインが得意なスタッフだって、その時間を使えばもっと多くのクライアントと対話できるはず。

「これこそAIに任せるべき作業だ」と確信しました。全員が同じレベルの資料を短時間で作れるようになれば、本来の営業活動に集中できるはずだと。

 

実際に使ったAIツールと結果

プレゼン資料作成に導入したツール

使用したアプリ:
Genspark:情報収集とリサーチ https://www.genspark.ai/
Gamma:プレゼン資料の自動生成 https://gamma.app/create/generate

驚きの時間短縮結果

導入前: 調査からパワポへの落とし込みまで約2週間(10営業日)

導入後: 4営業日

削減できた時間:約60%削減!

 

AI導入後の残業時間の変化(実データ)

実際にAIツールを導入した営業部門の残業時間がどう変化したか、数字で見てみましょう。

営業部門全体の残業時間変化

AI導入前後の比較(5月→6月)

営業部門全体の残業時間が16.3%削減されました。

これは時間にすると、部門全体で月16.5時間の削減。つまり約2営業日分の時間を生み出したことになります。

しかも、これは導入初月の数字。スタッフがツールに慣れていない段階でこの成果です。

生み出された時間で、クライアントとの対話や提案内容の検討により多くの時間を使えるようになりました。

 

具体的にどう変わったか?作業フローの変化

【Before】従来の作業フロー(約2週間)

1週目(5営業日):情報収集フェーズ
・クライアントの業界調査(Google検索、業界レポート読み込み)
・競合他社の事例収集(各社サイトを1つずつ確認)
・市場トレンドの調査(複数の情報源から手動でまとめ)

2週目(5営業日):資料作成フェーズ
・収集した情報の整理とストーリー構成
・パワーポイントへの落とし込み(デザイン含む)
・最終チェックと修正

【After】AI導入後の作業フロー(4営業日)

Day1:AI情報収集
・Gensparkで業界情報・競合情報・トレンドを一括収集(2時間)
・収集した情報の精査と追加調査(3時間)

Day2:構成作成
・AIが収集した情報をもとに企画とAEとでブレストを行う(終日)
・提案ストーリーの構築と検討

Day3:資料自動生成
・Gammaにストーリーと情報を入力し、プレゼン資料を自動生成(2時間)
・生成された資料のカスタマイズと調整(4時間)

Day4:仕上げ
・クライアント向けの最終調整
・社内レビューと修正

 

Gensparkの活用方法:情報収集の革命

Gensparkって何?

AIを使った次世代検索エンジン。単なる検索結果の羅列ではなく、質問に対して構造化された回答を提供してくれます。

実際の使い方例

従来のGoogle検索:
「宮崎 観光業 課題」で検索
→ 大量の検索結果から1つずつ開いて情報を探す必要がある

Gensparkの場合:
「宮崎県の観光業が抱える課題と解決策を、具体的な数値データと成功事例を含めて教えてください」
→ 構造化された包括的なレポートが一発で出てくる

活用のポイント

・質問は具体的に、欲しい情報の形式も指定
・「数値データを含めて」「事例を3つ以上」など条件を明確に
・複数の視点(顧客視点、競合視点、市場視点)を指定すると良い

 

Gammaの活用方法:プレゼン資料の自動生成

Gammaって何?

AIがプレゼンテーション資料をデザイン込みで自動生成してくれるツール。テキストを入れるだけで、見栄えの良いスライドが完成します。

実際の使い方例

Step1:プロンプト入力

宮崎の中小製造業向けDX提案
1. 現状の課題(人手不足、生産性)
2. DXによる解決策
3. 導入事例
4. 費用対効果
5. 実施スケジュール

Step2:自動生成(約3分)
→ 15-20枚のスライドが自動で完成

Step3:カスタマイズ
・自社のロゴやカラーに変更
・クライアント固有の情報を追加
・不要なスライドを削除

活用のポイント

・最初から完璧を求めない(70%の出来でOK)
・デザインテンプレートは事前に選んでおく
・生成後のカスタマイズ時間を必ず確保する

 

導入して分かった「向いている業務」と「向いていない業務」

AIに向いている業務

情報収集系の作業
・市場調査、競合分析、トレンド調査
・大量の情報を構造化する作業

定型的な資料作成
・提案書のベース作成
・報告書のフォーマット作成

初期段階のアイデア出し
・ブレストの壁打ち相手
・構成案の作成

AIに向いていない業務

クライアント固有の深い理解が必要な部分
・社長の想いや企業文化の反映
・過去の経緯を踏まえた提案

クリエイティブな差別化要素
・オリジナルのコンセプト開発
・感情に訴える表現の作成

対面でのコミュニケーション
・ニュアンスの読み取り
・信頼関係の構築

 

導入コストと費用対効果

初期投資

Genspark:Plus プラン 月額$24.99(約3,750円)
Gamma:Pro プラン 月額$20(約3,000円)
合計:月額約6,750円

削減できた時間

部門全体:月16.5時間の削減
一人あたり:月約5.5時間の削減
年間換算:約200時間(25営業日分)になる!

この削減された時間を使って:
・新規提案の質を高める
・既存クライアントとの関係を深める
・市場調査や競合分析を強化する

月約7,000円の投資で、年間25営業日分の時間を生み出せたことになります。

 

導入時の課題と解決策

課題1:AIに対するアレルギーや抵抗感

実は、これが一番大きな壁でした。

AIに対してアレルギーがある人や、使いたくても使い方がわからない人は一定数いる。

「AIなんて難しそう」「今のやり方で問題ない」「間違った情報が出たらどうするの?」

そんな声が最初は多かったです。

解決策:実演して興味を持ってもらう

僕がやったのは、本人が行なっている作業を実際にAIでやって見せること

今回の中でみんなが興味を示したのは、自分が調べた内容や企画内容をGammaに流し込んだら一瞬でスライドが出来上がってしまうところでした。

AEスタッフが市場調査の内容をメモに書いていたので、それをGammaに入力してもらいました。調べた内容をコピペして、プレゼンの構成を簡単に指示。

約3分で、15枚のスライドが自動生成されました。

しかも、グラフや図表まで自動で配置されている。同じ作業をパワポでやったら半日から1日はかかる作業です。

この実体験で、AIツールの実用性を理解してもらえました。

そして重要なのは、いきなり全部をAI化するんじゃなく、実際の小さな仕事に活用させてみること

最初は社内ミーティング用の簡単な資料から始めて、徐々に顧客向けの提案資料にも活用していく。段階的に導入することで、スタッフも無理なく使いこなせるようになりました。

課題2:最初はツールの使い方が分からない

解決策: まず僕が1週間使い込んで、使い方マニュアルを作成。その後、AEに展開。

課題3:AIの出力をそのまま使おうとしてしまう

解決策: 「AIの出力は60点。残り40点は人間が足す」というルールを設定。

課題4:情報の正確性への不安

解決策: 重要な数値や事実は必ず一次情報源で確認するルール化。

課題5:「AIを使えば誰でもできる」という誤解

実はここも重要でした。

ただAIを使えば誰でもできるってわけじゃない。AIの使い方や調べ方、資料の作成にもテクニックがあるんです。

例えば、Gensparkで情報収集する時も:
・「宮崎 観光」で検索するのと
・「宮崎県の観光業における2024年の課題と、成功事例を3つ、具体的な数値データと共に教えてください」で検索するのでは、
得られる情報の質が全然違います。

Gammaでプレゼンを作る時も:
・ただ「提案書を作って」と入力するのと
・「製造業向けDX提案、現状分析→課題→解決策→事例→費用対効果の流れで、各スライド3行以内のポイントで」と指示するのでは、
出来上がりのクオリティが段違いです。

つまり、AIツールも「使い方を学ぶ」必要がある。 ただ、パワポのデザインスキルを身につけるよりは、はるかに短期間で習得できる。そこが大きな違いです。

 

実践してみて分かった「成功のポイント」

1. スモールスタートが大事

最初から全業務をAI化しようとせず、「プレゼン資料作成」という1点に絞ったのが良かった。

2. 現場の声を聞く

AE本人に「何が一番時間かかってる?」と聞いて、本当の課題を把握した。

3. ツールありきで考えない

「このAIツールを使いたい」ではなく、「この作業を減らしたい」から考える

4. 効果測定を必ずする

導入前後の作業時間を記録し、数値で効果を可視化。

5. 人間の価値を再定義

AIでできることはAIに任せ、人間は「共感」「創造」「関係構築」に集中

 

読者の皆さんへ:まずはここから始めてみませんか?

今すぐできる第一歩

Step1:時間の棚卸し(1週間)
・営業スタッフに1週間の作業内容を記録してもらう
・何に何時間使っているかを可視化

Step2:削減対象を1つ選ぶ
・最も時間がかかっている作業を1つピックアップ
・その作業の何%をAIで代替できそうか検討

Step3:無料ツールで実験
・ChatGPT無料版やClaude無料版でまず試す
・効果を感じたら有料ツールを検討

投資判断の目安

月約7,000円の投資で、月16.5時間削減できそうなら即導入すべき!

 

まとめ:AI導入は「人を活かすため」のもの

プレゼン資料作成にAIを導入して約2ヶ月。AEの残業は確実に減り、何より「提案の質」が上がりました

情報収集や資料作成に使っていた時間を、クライアントとの対話提案の戦略検討に使えるようになったからです。

ここで大事なことを一つ。

パワポをキレイに作ることがプレゼンの必要なことじゃない。クライアントの課題を解決することが大事であって、その内容をわかりやすく伝える為にパワポがある。

AIを使うことで、資料の「見た目」に時間を取られることなく、「中身」に集中できるようになりました。つまり、クライアントの本当の課題は何か?どう解決するか?という本質的な部分に時間を使えるようになったんです。

AIは人の仕事を奪うものではなく、人がもっと人らしい仕事をするための道具

この事例が、「うちでも何か1つ、AIで改善できそうだな」と思うきっかけになれば嬉しいです。

もし「うちの営業でも試してみたい」という方がいらっしゃれば、お気軽にハナビヤまでご相談ください。同じ宮崎の企業同士、ノウハウをシェアしていきましょう!

 

次回予告|第9話「動画×AI」

次回は、元CMディレクターだった僕が、AIを使って動画制作をした案件を公開します。

動画制作の現場でAIをどう活用するか?人間のセンスとAIの効率性をどう組み合わせるか?

実際の制作事例と共にお伝えします。

次回もお楽しみに!

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