第7話|トリプルメディアを使っても、伝わらない理由

こんばんは、
BAR『月灯り』のバーテンダー、叶あかり(28)です♡
先日、児湯郡で食品製造業を営む次期3代目の常務がご来店されて、こんなふうに呟いたの。
「広告も出して、SNSも更新してるし、最近はLINEでクーポンも配信してる。
……でも、正直“ちゃんと届いてる”実感がないんだよね」
氷の溶ける音を聞きながら、グラスをそっと置いた常務。
「やることはやってるはずなんだけど……
社員も周りも『いいんじゃない?』って言うけど、なんか違和感があってさ」
あかり:「もしかして、“伝える内容”と“届ける場所”、ちゃんと噛み合ってないんじゃない?」
常務:「う……あるかも。SNSも広告も、やってるけど……
ちゃんとつながってないのかもな」
あかり:「だったら、“トリプルメディア”って考え方を、一度整理してみない?」
常務:「トリプルメディア?」
あかり:「トリプルメディアっていうのは、
オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアっていう、
情報発信でお客さんとの接点を作るための3つのメディアのことなの」

あかり:「まずは“オウンドメディア”。これは、自社で運営するWebサイトやブログ、メルマガ、アプリのこと。
理解を深めてもらうのに有効なメディアよ」
常務:「ああ、うちも一応、商品のこと書いてるページあるよ。会社紹介とかも」
あかり:「でも、“何をどう伝えるか”が曖昧だと、ただのカタログ止まり。
自社の想いをちゃんと“形”にできるのが、オウンドメディアの強みなの」
常務:「なるほど……“地元の素材にこだわってる理由”とか、まだきちんと発信できてないかも」
あかり:「次に“ペイドメディア”。
これは広告費用を支払って情報発信して、認知を進めるもの、つまり、テレビCMやWeb広告のことね。
GoogleやInstagramに出している広告もペイドメディアに含まれるわ」
常務:「広告は費用対効果が気になって、最近ちょっと控えめにしてる」
あかり:「“売る”ためじゃなく、“知ってもらう入口”として活用するのがペイドメディアの本質なの。
まず出会ってもらわなきゃ、物語も始まらないからね♡」
あかり:「そして“アーンドメディア”。これは、企業と直接関わりのない第三者が口コミサイトやSNSなどで感想や評価を発信して広がっていくメディアのこと」
社長:「なるほど、うちの味噌が“ふるさと納税で美味しかった”ってXでつぶやかれててね。
社員でその投稿見て喜んでたよ」
あかり:「まさにそれが“アーンド”♡
企業が直接操作できないぶん、かえって信頼の証になるのよね」
あかり:「中でも最近は、SNS上で“リポスト”や“いいね”で広がっていく投稿のことを、“シェアードメディア”って呼ぶこともあってね。
つまりアーンドメディアの中の一つで、
“共有されること”を前提とした関係性のメディア、って感じかな」
長:「なるほど……うちもキャンペーンのお知らせ出してるけど、
広がるかどうかは“誰かが反応してくれるかどうか”にかかってるよね」
あかり:「そうそう。企業からの発信も、ちゃんと“共感される言葉”じゃないと届かないし、
シェアードの場って、半分“お客さまと育てていく空気感”なのよ♡」
社長:「やってる施策を“線”でつないで、意味を持たせる。
それができてないから、伝わってなかったのかもな……」
あかり:「媒体を“分けて考える”のも大事だけど、
“どう行き来するか”“どんな物語としてつながってるか”って、もっと大事なの。

オウンドは“土台”、ペイドは“呼びかけ”、アーンドは“反響”。
全部バラバラじゃなくて、“一つの物語”として設計するのが大切ね」
社長:「広告をクリックした後に見てもらうページが、ブランドのことを何も語ってなかったり……あるあるだなぁ」
あかり:「ひとつずつ整えるだけじゃなくて、
“全体でどう伝わるか”を設計するのが、マーケティングの本質なのかもね♡」
社長は静かにグラスを傾けて、笑った。
それじゃ、今夜もあなたのビジネスにちょっと効く「マーケティングの一杯」を。
叶 あかり
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「売上を伸ばしたいけど、どこから手をつければ、、」
そんなお悩みをお持ちの方、貴社に最適なマーケティング戦略をご提案します。
小さなご相談からでも、お気軽にどうぞ。
↓お問い合わせはこちら

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
■ 次回予告|数字が動いても、人が動かない?
「うち、毎月KPIは出してるんだよね。
営業も現場も、数字は見てる。……でも、動いてる実感がなくてさ」
第8話でバーを訪れたのは、業績管理を徹底する老舗設備会社の2代目社長。
KGIから逆算してKPIをツリー化し、報告資料も完備。
けれどその数字が、“現場の行動”と結びつかない。
進捗はある。でも、納得感がない。
チェックはしてる。でも、動きが生まれない——
あかりがそっと差し出すのは、“数値の先にある意味”を言葉にするという視点。
次回もお楽しみに。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
架空のBAR「月灯り」で働くバーテンダー叶あかりが
シェイカー片手に、あなたのビジネスに効く”処方箋”を調合します。
=叶 あかり=
会員制BAR『月灯り』6年目/好きな酒は山崎18年・木挽BLUE/
最近の悩みは彼氏の蕎麦打ち粉が制服に付くこと