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遠山貴一のひとりごと
代表者保証を外してくださいと銀行に頼みに行った話
ショートレビューの指摘で、代表者保証の解消が必要だと言われた。
「そんなルールあるんだ!?」
というのが正直な感想だった。
そもそも代表者保証って何?
知らない人のために説明すると、代表者保証というのは、会社が銀行からお金を借りる時に、社長個人が「もし会社が返せなくなったら、僕が個人で返します」と保証することだ。
中小企業だとこれが当たり前になっている。借りる時にサインして、それで終わり。うちもそうだった。特に何も考えていなかった。「借りるってそういうもんでしょ」くらいの感覚。
でも上場企業は、社長個人が会社の借金を保証している状態じゃダメらしい。
なんで!?
考えてみたら、そうだ。上場企業の株を買う人からしたら、「社長個人の財産と会社の財産がごっちゃになってます」って言われたら怖い。会社のお金の話なのに、社長個人の保証がないと銀行が貸してくれない状態って、会社としての信用がないのと同じだ。
理屈はわかる。わかるけど、こんなルールがあること自体を知らなかった!
断られた。じゃあ他に聞こう
理屈がわかったところで、やることは地味だ。銀行に行って「代表者保証を外してください」とお願いする。
結果、ダメですと言われた。
仕方ない。じゃあ他の銀行にも聞いて、借り換えも検討しよう。
そこで他の銀行3行に相談しに行った。上場を目指していること、会社の状況を説明して、代表者保証なしで借りられないか聞いた。
そしたら、あっさりOKが出た。
え? なんで? こっちはあっさりいくの!?
で、その話を元の銀行にしたら、あっさり外してくれた。
え!? 最初ダメって言ったじゃん!!
まあ、銀行からしたら保証を外すってことはリスクが増えるわけで、簡単に「はいどうぞ」とはならないよね。他行に借り換えられるくらいなら外した方がいい、という判断だったんだと思う。
交渉ってこういうことなのか、と学んだ。
外れた。特に何も感じなかった
交渉を重ねて、最終的に代表者保証は外れた。
で、外れた時にどう思ったか。
特に何も感じなかった。淡々としてた。
「あ、外れたんだ。よかった。次。」くらいの感覚。
達成感みたいなものがあるかと思ったけど、全然なかった。多分、やるべきことが多すぎて、ひとつ終わっても喜んでる余裕がなかったんだと思う。代表者保証の解消は課題リストの一項目でしかない。まだまだ残ってる。
上場準備は地味な事務作業の連続
振り返ると、上場準備ってこういうことの連続だと思う。
代表者保証の解消。規程の整備。取締役会の設置。反社チェック。全部同じくらい地味。華やかさはゼロ。
外から見ると、上場って「鐘を鳴らす日」のイメージが強いと思う。でも実態は、地味な事務作業の積み重ねだ。銀行に何度も足を運んで、断られて、他の銀行に行って、また戻って。それを誰にも言わずにやっている。
今まで、どんだけ自由だったのかと思う。いや、自由というより無法地帯だった。ルールがなかっただけ。それを「自由」と呼んでいた。
地味でも、一個ずつ潰していく
代表者保証が外れても、特に喜べなかった。やることが多すぎて。
でも、「無、無、無」だった課題リストから、一個消えた。確実に前に進んでいる。
上場準備に派手なことは何もない。地味で、めんどくさくて、誰にも褒められない。
でも、一個ずつ潰していくしかない。それが上場への道だと思っている。
AUTHOR
遠山貴一
宮崎でクリエイティブの会社をやっているハナビヤ代表。 この連載は、「会社運営や経営するリアル」を記録した実践日記です。