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遠山貴一のひとりごと
自分の会社なのに、中身を知らなかった
ショートレビューの指摘で、会計方針を大幅に変える必要があると言われた。
消費税は税込方式から税抜方式へ。原価計算の仕組みを構築。税効果会計の適用。
全部、早期対応。
で、最初に思ったこと。
「え、うち税込方式なのは知ってるけど、なんでダメなの!?」
なんで税込じゃダメなんですか!?
自分の会社が税込方式でやっているのは知っていた。知っていた。
でも、なんで税抜方式じゃないといけないのかがわからない。税込でも税抜でも、最終的に払う税金は同じじゃないの!? 何が変わるの!?
監査法人に「税抜方式に変更してください」と言われて、「はい」と答えた。答えたけど、なんで変えなきゃいけないのか全然わかっていなかった。「はい」しか言えなかった。それしか選択肢がなかった。
経営者やってて、自分の会社の会計方針がなぜダメなのか理解できない。やばい。普通にやばい。
毎月の経営判断「現金あるから大丈夫っしょ!」
じゃあ今まで会社の数字をどうやって見ていたのか。
恥ずかしいけど正直に書く。
最終的な決算書でしか、ちゃんとは見ていなかった。毎月の判断はこうだ。
毎月いくら残る。現金はこれくらいある。出ていく金はこれくらい。差し引き……まあ大丈夫っしょ!
以上!
これが経営判断だった。いや経営判断と呼んでいいのかもわからない。「なんとなく儲かっている」「なんとなく回っている」。その「なんとなく」で何年もやってきた。売上は伸びていたし、現金が尽きることもなかった。だから問題だと思わなかった。
いや、問題だったんだけど! 気づいてなかっただけで!
粗利は出てるのに、間接費入れたら……あれ!?
ショートレビューの指摘で一番重かったのは、部門別会計だった。
案件ごとの粗利はわかっていた。この案件でいくら売って、外注費がいくらで、粗利がいくら。そこまでは見ていた。ちゃんと見ていた。ここは胸を張って言える。
でも! 営業利益に関わる間接費を案件ごとに見たことはなかった。そもそも間接費を案件に配賦するという発想自体がなかった。
部門別会計を始めて、間接費が案件ごとにわかるようになった時、びっくりした。
「え!? この案件、粗利は出てるけど間接費入れたらこれしか残らないの!?」
全然違う景色だった。粗利だけ見て「この案件儲かってるわ〜」と思ってたのが、間接費を乗せたら「あれ……?」となる。
それすら知らなかったのかと。勉強不足を思い知らされた。
自分の会社なのに、初めて中身が見えた
会計方針を変えて、部門別会計を始めて、数字が見えるようになった時、不思議な感覚があった。
自分の会社なのに、初めて中身が見えた気がした。
今まで「見ていた」と思っていた数字は、表面だけだった。売上と現金残高。それだけ見て「大丈夫っしょ!」と判断していた。いやいや、大丈夫じゃなかったんだけど。
上場を目指すと、「なんとなく」は通用しない。全部の数字に根拠がいる。「なんとなく儲かっている」は許されない。
知らないまま走り続けるのが一番怖い
ショートレビューの指摘を受けるたびに「こんなことも知らなかったのか!」と思い知らされる。税込と税抜の違い。間接費の配賦。部門別の利益計画。全部、知らなかった。
毎回しんどい。「お前そんなことも知らないで経営してたの!?」と言われている気分になる。
でも、知らないまま「なんとなく大丈夫っしょ」で走り続ける方がよっぽど怖い。
上場準備は、自分の会社を初めて正面から見る作業だと思っている。痛いけど、見えた方がいい。見えたら動けるから。
AUTHOR
遠山貴一
宮崎でクリエイティブの会社をやっているハナビヤ代表。 この連載は、「会社運営や経営するリアル」を記録した実践日記です。